2015年5月1日金曜日

Who I am / 私は誰



 Who I am / 私は誰

最近、人間がおかしいのが気になります。

エルヴィスの歌声をポケットに入れて
その謎を解く旅。

人間は言葉を持ってこの世に誕生したわけではありません。
どのようにしてコミュニケーションしたのでしょう。

キース・リチャーズが語っているように

三、四千年前の人間の祖先のことを思い出してみろよ。
骨を見つけ、
それを岩の上で打ち砕いた男------。
彼は満月を見上げる。
大声で吠えた。
それが音楽の起源。
----それこそがロックンロールだ。

音楽の起源とは、生きるために、愛を通わせた時点に遡るのではないでしょうか?

異常気象が続き、人心は乱れ、モラルの破壊は続き
私たちは明らかに生きる上でもっとも大切なにかを進行形で失っています。




1960年12月に「ベトナム戦争」が起こります。1960年のビッグヒットは<イッツ・ナウ・オア・ネバー>でエルヴィスはますます絶好調、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

1964年8月、アメリカを筆頭に大規模な軍事介入が始まりベトナム戦争は激しさを増していきました。1967年~1968年に激しさのピークを迎えます。アメリカ国内では反戦デモが盛んに行われ、プラカードが掲げられ、言葉が意味を持ちました。ここでエルヴィスはいわゆる低迷期に入ります。

ボブ・ディランらフォーク畑のミュージシャンは言葉を伝えるミュージシャンです。ビートルズは楽曲的にビーチボーイズを意識し、言葉的にはボブ・ディランを意識したような作品を世に出します。

一方、エルヴィスは魂でコミュニケーションするミュージシャンです。詩に重きはなく、歌声にすべてが凝縮されています。エルヴィスはこだわり、ステージ活動に比例し、魂でのコミュニケーションを試みます。

しかし当時の言葉にこだわり、作詞作曲を尊ぶ風潮は、カヴァーに専念するエルヴィスをラッキーボーイにすぎない過去の遺産と見なす人々を作り出しました。

もっとも低迷期とされている68年にシングルリリースされたものを並べてみると、<愛しているのに><ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン><その気で行こう><おしゃべりをやめて>とそれぞれ独特の味わいのあるどれも傑作揃い。2000年代に入ってヒットチャートナンバーワンになったパフォーマンスも含まれています。ただ売れ行きが落ちただけで、経済的価値で低迷期、スランプと騒ぐことはアーティストに誠に失礼である。しかも売れ行きには利害関係が働いていてエルヴィスの存在を否定したい力も影響したでしょう。


エルヴィスが何者なのか、<マイボーイ>や<ポーク・サラダ・アニー>のオリジナルと聴き比べれば、すぐに分かります。もはや同じ楽曲とは言えません。それこそがエルヴィスが子どもの頃から培ってきた人生そのもであり、人生の詩なのです。「自分ならこうする」と好きな曲を口づさんだ時、歌は一瞬にして魂を受け入れ通わせます。詩も曲も、見えない魂を形作る装置でしかないのです。

ディブ・マーシュ(音楽評論家)が語ったように、エルヴィスは他の誰の概念にも定義されることを最後まで拒んだ男だったのです。


三、四千年前の人間の祖先のことを思い出してみろよ。
骨を見つけ、
それを岩の上で打ち砕いた男------。
彼は満月を見上げる。
大声で吠えた。
それが音楽の起源。
----それこそがロックンロールだ。
エルヴィスは魂でコミュニケーションすることを教えるために、人間の祖先、音楽の起源からやってきた男ではないかと思うのです。


我々はどこからきたのか?
私はなにものなのか?
我々はどこへいくのか?





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